地域の救急医療を守り、アートの力で街を元気にしたい。

斎木病院 院長・専務理事
齋木泰彦さん
斎木病院は明治31年に開業した地域の医療を支える病院です。長門の救急医療の一角を守り続けている齋木家にあり、昭和を代表する洋画家・香月泰男氏を祖父に持つ、院長の齋木泰彦さんは地域の医療を支えつつ、アートの力で街を元気にしたいと多方面で活躍されています。

どのような仕事をされていますか?

平成19年に小倉から仙崎へ帰ってきて、現在は斎木病院の院長をしています。普段は月曜から土曜までの外来診断を主に行なっています。専門は消化器内科ですが、長門市では、夜間は特に人手不足の問題を抱えているため、救急医療にも力を入れています。救急こそが斎木病院の役割だと思っていますし、地域の救急を守る責任感を持って仕事をしています。

小倉から仙崎へ帰ってくることになったきっかけを教えてください。

斎木病院では、平成19年に救急医療を存続させるかどうかをめぐって、病院としての大きな岐路に立ちました。救急を続けることを決めたことで、やめるべきと考えていたスタッフは去っていきました。その時、私は小倉の病院に勤めていましたが、ここが地元である仙崎へ帰るタイミングだと思いました。私自身も、救急医療をやると決断したからには、専門外だからと言うことはできません。それから心臓、脳血管疾患、外科、整形など様々な研修、勉強を続けてきました。今では「先生って何科?」と、聴かれると「救急内科だよ」と胸を張って答えています。

長門市との関わりを教えてください。

安倍首相とロシアのプーチン大統領の首脳会談がここ長門市で開催されることが決まった時、長門の地を選んでくれた安倍首相の心意気に応えたいと強く思い、二人の似顔絵の入った歓迎の大漁旗を作りました。その出来事をきっかけに、街を盛り上げたいと声をあげてくれる人と沢山出会えました。それから、賑やかな漁師町であった仙崎をイタリアのナポリに見立て「仙崎のまちイタリア化計画」など様々なイベントを企画しています。芸術にふれあい、特に地元の子供たちが街へ愛着を持ってもらえるような楽しいイベントを開催していきたいと考えています。

長門市の若者へアドバイスをください。

長門市は近隣する萩や下関と比べて偉大な歴史が少ないです。しかし、だからこそ、その歴史に縛られることのない自由な発想を持った人が生まれやすいのだと思います。また、その発想を受け入れてくれる町の寛容さが魅力です。自分の考えが間違った方向へ向かっていないと確信したならばどんどん行動を起こしましょう。それから、周りを巻き込んでいくには、自分がまず楽しむことです。そして、ブレないことです。たとえ小さな一歩でも、その考えに賛同してくれる仲間たちがきっとあなたに手を差し伸べてくれます。それが長門のいいところですよ。

今後の展望について教えてください。

救急内科を続けていくことが今、私に求められている姿だと思います。そして、それが地域の信頼を得る糧のひとつにもなっています。またデバイスや技術を取り入れて、地域同士でうまく連携し、医療の地域間格差をなくすような新しい仕組みを作ろうと模索中です。自分の行動によってマイナスに向かっているものがプラスへ変わっていくのならば、どんどん動いていこうと思っています。その他に、地域の子供達が喜んでくれるようなワクワクするイベントも積極的に企画していきたいですね。
周りを楽しませようとするサービス精神の中にも、地域を盛り上げていきたいと思う地元への愛着と長門の未来をつなぐ子供たちを想う優しい気持ちを感じさせてくれた斎木さん。アートの力で町おこしを。次はどのような企画を持って私たちをワクワクさせてくれるのでしょうか?乞うご期待です。
医療法人生山会斎木病院
医療法人生山会斎木病院
☎0837-26-1211
http://www.shouzankai-saiki.com