地域に愛される旅館から
長門の魅力を発信する。

油谷湾温泉温泉ホテル楊貴館 取締役
岡藤 明史さん
穏やかなさざ波の音が心地の良い油谷湾を望むホテル楊貴館。年間2万人もの宿泊客が訪れる、地域の方に支えられ、地域に愛される旅館として知られています。そんな楊貴館の次期代表である岡藤明史さんにお話を伺いました。

楊貴館での役割を教えてください。

楊貴館では、10 代から 70 代まで 100 人近くのスタッフが働いています。代表や幹部にも女性が多く、 女性の活躍を応援している会社です。産休、育休、介護などさまざまな状況を考慮できる労働環境を設けています。スタッフとのコミュニケーションを第一に考え、困っていることがあれば仕事以外のことでも相談できる関係性を大事にしています。スタッフの得意なことや趣味を個性として尊重し、チャレンジを応援する「人を生かす、人を育てる」のポリシーで日々取り組んでいます。

長門へ戻り、旅館を継ぐことを決意されたきっかけはありましたか?

私が生まれたことで、祖父と父親がホテルを大規模増築する事を決めたと、楊貴館の設計士の方から聞きました。この町へ骨を埋める覚悟は、物心ついた時から決めていたように思います。大学までは山口に、卒業してからは福岡で違う業種の企業に勤めていました。福岡で就職を決めたのは、実力をつけ、人とのつながりを広げたいと思ったからです。しかし、勤務して 4 年が経ったある日、長門市が観光や新しい取り組みで変わろうとしていることを知りました。直感で本当に長門市が変わっていくと感じ、今ふるさとへ帰らなければ後悔すると思いました。そして、思い立ったが吉日、すぐに会社と実家に連絡し長門で生きることを決意しました。長門へ戻ってきてからは、経営者の方や地域の方々と会う機会を通して、生き方や働き方、人との向き合い方など教えてもらうことばかりです。自分一人でがむしゃらに頑張る生き方をしていましたが、関わる人と協力し合いチャレンジをしていくことで、より自分自身を成長させ、実りが多いということを学びました。

長門市との関わりを教えてください。

まずは仕事柄、「観光」で大きく関わっています。長門市は仙崎のセンザキッチンや湯本エリアの活性化など、 現在、観光に注力しています。元乃隅稲成神社の影響で世間への露出が増えていますが、ひとつひとつの企業が「個」で頑張るのではなく、長門市全体がチームとして前進しなければならないということを学んでいます。また、NPO 法人つなぐを通して、教育や地域活性化にも関わっています。いま、次世代の長門市を担う人材育成に注力しなければならない時期が迫ってきています。そのために、私たちの世代が覚悟を決めて地域と向き合っていかなければいけないですね。

長門市の魅力を教えてください。

長門市は、 3 万5000 人という人口の中で、頑張って何かをなそうとしている人や熱い想いをもっている人が埋もれないところですね。そして、その人たちとしっかり繋がることができることです。さまざまな業種や立場の人と繋がることが、自分の発想の枠を外し、新たな取り組みやチャレンジへの一歩を踏み出すきっかけになっています。 小さいコミュニティだからと悲観せずに、ここだからこそ出来ることをしっかり利用しないともったいないです。また、豊かな自然と穏やかな環境のためか、オープンマインドで優しい方が多く、その人柄が地域の大きな魅力だと思います。

今後の展望を聞かせてください。

宿泊業は地域の経済や観光を活性化させる入り口になる仕事だと思います。自分の会社が、自分の会社だけで終わるのではなく、地域の顔やブランドのひとつになれる会社になりたいです。地域の一番が最終目標ではなく、日本全国でここにしかないオンリーワンを目指していきたいと思っています。 そのために、感謝を持って地域や自然、人を大事にしつつ将来を作っていきたいですね。
終始穏やかな語り口で質問に答えてくれた岡藤さん。言葉の節々から地元長門への愛や感謝の気持ちを感じることができました。つなぐでは理事長を務め、教育の面でも尽力したいと語る岡藤さん。それがどのような形で結実するのか。これからの活動にも要注目です。
油谷湾温泉ホテル楊貴館
油谷湾温泉ホテル楊貴館
☎0837-32-1234
http://www.hotelyokikan.jp/