山口県の最低賃金の変遷と、人口ビジョンに見る地域の現状
こんにちは、つなぐ事務局です。
R4年10月16日より、山口県内の最低賃金が888円になります!
この記事をかいている本人は、2019年に長門市に移住しました。そのときはまだ 最低賃金は830円くらいだったので上がってきているのを感じます。
せっかくなので、最低賃金について調べつつ、人口ビジョンについても確認しました。
最低賃金 時給888円について
― 最低賃金が888円になったとして、残業代はどうなるのでしょうか?
最低賃金は、月給制で働く方にも適用になります。
1日あたり8時間以上働くと『時間外労働』になります。計算として時給の25%UPだから、1,110円に!
残業代の有無は、働く方にとっても大きいですし。会社側としては、業務効率アップや働き方改革が進むと経費削減になりますね。
そして、時間外のうえ、深夜労働(22時から翌5時、25%UP)の勤務ですと、50%UPになるので、時給1332円です!!こうなるとよりインパクトがあるように思います。
最低賃金の推移
最低賃金は、ここ40年で大きく変わっています。1980年に336円で、2020年に829円。約2.5倍!全国的にも同じような動きですが、大きく上がっていますね。
これだけでみると、時給とか月給で働く人の給与はよくなっています。
ちなみに、山口県の人口を調べると、1980年は約1,587千人。2020年(令和2年)10月1日現在の人口は1,342,987人⇒1,343千人。よって15%減少
考えてみました。
一次産業従事者が減っていることについて
山口県、とくに北浦(日本海側)では、第1次産業が盛んで、個人事業主も多いと思います。第一次産業とは農業や漁業、畜産になります。個人事業主ですと「儲け」から経費を引いた額が「稼ぎ」になります。それは、いいときもあれば、悪いときもあります。農業は自然が相手で畜産は生き物が相手なので、休みがあってない状態にもなります。
よって、個人事業主ではなく、月給・時給や福利厚生のある仕事で働ける職を希望する動きがあるのは、まったくその通りで、理解できます。
全体の人口が減少し、働く人はサラリーマンやアルバイトになっているなら、一次産業の従事者が減っているのも頷けます。
さて、ここからは、最低賃金にこだわらず、地域のことを少しデータでみていきたいと思います。
地方創生 自治体による『人口ビジョン』の作成
2020年3月に、山口県から『山口県人口ビジョン〔改訂版〕 令和2年(2020年)3月 山口県』が公表されました。
たくさんのデータを示しながら、分析やこれからの取組みについてまとめられています。ぜひご覧になってみて下さい。 【PDF】
資料の中から、興味深いと感じたデータを一部抜粋します。
◎◎全国平均より、ずっと早く人口減少が進むと予測されている山口県
【P2】人口動向分析 (1) 時系列による人口動向分析 より
出生数が少ないことが話題に上ります。ただそもそも、出産適齢期とされる女性の割合が少ない(この年代の女性が、県外に流出)ことが課題となっています。
【P10】(3) 出生に関する分析 より
原因の1つとして、20~39歳の女性の希望する就職先が少ないのではないか、との話題も出るようになりました。
◎◎男女別の産業人口 男性は製造業、女性は医療福祉、と特徴が分かれています。
【P11】雇用や就労等に関する分析 より
◎◎「働く人の数」が目に見えて減っていること、高齢化していることが大きな大きな課題となっています。
【P20】地域経済への影響 より
◎◎【P25~】県内大学生・高校生等の就職意識等調査(令和元年 9~11 月 県政策企画課実施)の掲載があります。
県内大学に通う学生は、山口県での日々には7~8割が肯定的ですが、就職・進学では「地元に帰る」「都会に出る」が多くなっており、山口県内に住みたいという希望者は約3割になります。
とはいえ、資料で知ったのですが、そもそも県内の大学に通う約半数が「県外出身」なのですね。
約半数が「県外出身」ゆえ、「地元に帰る」というのが成り立つのですね。でも、大学での日々を山口県で過ごしてもらうことでの関係作りはすごく価値があると感じています。日本全国や海外留学生もいるならその方々とのネットワークを作っていくことはプライスレスに価値があると感じます。
山口県で学生時代をすごす、1人でも多くの方が、いい学生生活になるよう、お手伝い出来る事があるなら嬉しいです!
ここからは「高校生」の意識になります。
高校生の8割以上が、住んでいる地域が好きと回答していますが、進路希望では、県内が35%にとどまります。
高校生で、県外への進学を希望する人は、どのような思いがあるのでしょうか?
【P34】○就職または進学希望地域を選んだ理由
※前回調査は、(2015 年(平成 27 年)3~5 月実施。
男性は「住み慣れているから住みたい」という人が2割いて、女性よりも高いです。
また女性は、男性より「より自身の希望にあった地域」を希望しています。
生物学的なものなのか、社会慣習上のものなのか、時代の変遷か、たまたまなのか。とても興味深いです。
人口ビジョンについて
ここで、「人口ビジョン」について、少し紹介したいと思います。人口ビジョンは、山口県はもちろん、長門市でも出ていますし、ほかの自治体からも出ています。
背景には、2008年から実際に日本全国の人口が減りはじめ、地方の衰退(高齢化と人口減少)が迫ってきたことがあげられます。
抜粋『政府は2014年12月に「まち・ひと・しごと創生法」に基づき人口減対策としての「長期ビジョン」と今後5カ年の政策目標・施策となる総合戦略を策定し、関連予算・支援措置を決定しました』(自治体問題研究所【論文】どこを目指す、地方版人口ビジョンと総合戦略─各自治体の策定状況と検討内容、課題 角田 英昭(つのだ ひであき)/ 2015年10月1日 より)
これを受けて、長門市はじめ、各自治体は2015年度中に地方版人口ビジョンと総合戦略を策定し、発表しています。
データやアンケートが示されるので、限られた予算をどのように配分するのか、考えるヒントになりますね。
なお、2015年の資料で、各自治体の予定が記されていて、興味深いので以下に引用します。
これまでその地域で育まれた方法があります。山口県としての方向性は示しつつ、ある程度は各自治体が自律的・主体的に考え行動していくことこそ大切と考えます。
長門市の人口ビジョンと『長門市しごとセンター』の設立
さて、ここで当法人が、委託を受けて運営を担う『長門市しごとセンター』が出てきます。
長門市でも人口ビジョン~改訂版~ 令和2年3月(リンク)が策定されました。
それを発展させる形で、令和2年度から令和6年度までの「第2期長門市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定され、長門市のHPで公開されています。
第2期長門市まち・ひと・しごと創生 総合戦略
Ⅰ 基本的な考え方
1 総合戦略の主旨 より
この中で、「就業」に関すデータを一部紹介します。
未来に向けて何をするか考える中で『長門市しごとセンター』の設立も行われています。
そして、令和3年(2021年)3月には、10年先を見越して、市役所員若手を中心に『ながと6G構想』がまとめられ、公表されています。【ながと6G構想のPDF】
大きなうねりの中で、希望を託された施設の1つとして、現状を踏まえながら、何をなすべきか考え実行していきたいと思っています。
長くなりました。ここまでお読み頂きありがとうございます。
引き続き、長門市しごとセンター、長門市、そして山口県や、長門市しごとセンターの運営を担うNPO法人つなぐの動きにもご注目いただき、一緒に地域の未来に向けて考え行動していけたらと思います。