上野千鶴子さん講演会が終了しました
こんにちは。NPO法人つなぐ事務局です。
2022年10月15日に、上野千鶴子さんをお招きして、講演会を実施いたしました。簡単ですが、様子をご紹介します。
イベント企画についてはこちらから。
(チケット販売について)新型コロナウイルスの感染拡大が長門市内でも急拡大していたため、220枚売れたところで、2ヶ月ほどチケット販売をストップしていました。※公民館会場の座席が440席でディスタンスをとるため。
市内での感染状況をみて、10月3日よりチケット販売を再開しました。
「待ってました」とのこと購入いただき、最終的にチケットは338枚の販売となりました。ご購入・ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございます。
会場に来るのが難しい方も参加できるようライブ配信も行いました。3名の方にご視聴いただきました。
※チケット販売再開のお知らせはこちらから
講演会の様子
会場は、1時間前から入れるようにしました。新型コロナウイルスの感染拡大防止の対策を継続し、チケットに名前や当日の体温の記入などを求めました。
皆様にはご協力をいただくことになりつつも、混乱もなく、時間どおりに進めることができました。感謝しています。
<進行の流れ>今回の進行は、NPO法人つなぐのスタッフが行いました
◎実行委員会の方の、ご挨拶
10年前に豊北町で勉強会があり、上野さんをご案内したときからのつながりで、ずっとお呼びしたいと考えており、今回「北浦地区」での実現に至りました。
健康寿命や介護についての多様なデータやインタビューを紹介されながら、軽快な口調でお話いただきました。
今回は『在宅ひとり死』がテーマであったため、要介護になっても認知症になっても、在宅で最期を迎える、という前提でのお話でした。
最期に「弱者が安心して弱者でいられる社会を」とのまとめで、講演は終了しました。
◎質疑応答
会場から高齢者の支援活動をなさっている方が「わたしは、1日でも長く、要介護者にならないようなサポートをしています」とのこと発言がありました。
上野先生は「要介護者になりたくないと頑張っても要介護者になる。ピンピンコロリの人はほんの一握り。もっといえば、ピンピンコロリはある意味突然死で周りが準備できていないことも多い。また、健康な期間が長い人ほどフレイル期間が長いというデータもあり、誰しも介護状態になりえる、という前提の話をしている」との回答をされていました。
そのほか「若い世代は介護問題をどう考えているのか」との質問も。
上野先生は「それは同年代の私ではなく、若い人に聞いて下さい」といいつつ。会場に若い人がいなかったことからご自身で回答されました。「若い人達にとっては、まだ自分事ではないからほとんど何も知らない。そもそも介護についてメディアは悲壮感漂うようなことしか報道していない。だから介護保険が高いだったり、子育て世代より高齢者を優遇しているという話になります。でもそういう単純なことではないし、安心して老後を迎えられることは、今の若いひとにとっても大切なことのはず」との回答でした(この記事を書いている者のメモを参考にしています。ニュアンスが異なる場合があります)。
◎謝辞 NPO法人つなぐの理事より
講演後は、本の販売とサイン会です。
先生からご推薦いただいた3種類の本を、当日販売しました。
サイン会では、約30名の方が並びました。一人一人にサインされ言葉を交わされていました。多くの方が、自身の介護経験はじめ感想やもやもやなどを先生に伝え、どなたに対しても笑顔で対応されていました。
実は、この日、上野さんは新山口駅でエレベーターでバランスを崩して腰を強打。座薬とコルセットで痛みを緩和しての講演会&サイン会でした。
「頭を打っていないし、薬が効いてきてジョークもいえるようになったから、大丈夫」とのこと、しっかり2時間話をされ、サイン会も40分近く対応いただきました。そのパワーとわかりやすい説明にはただただ感嘆しました。
上野千鶴子さんの考える『要介護者』という状態
今回の講演会では、『要介護者』としての考え方が、たくさんのデータをもとに紹介されています。
また、たくさんの著書なども紹介されていました。
春日キスヨさんの『百まで生きる覚悟』について、紹介文を書かれていらっしゃるので紹介します。
長生きする時代に、長生きしている高齢者が、葬式のことは考えても「自分が要介護者」になったときのことを考えていないのは『思考停止では』という指摘は、上野さんらしい指摘だと思います。
在宅で介護を受けるのは、お金のある人だけの特権でしょうか?
上野さんは、「介護保険ができて、事例がたくさん出てきている」とのこと、以下の書籍を紹介されました。
小笠原さんは、たくさんの在宅介護の看取りを対応する中で、介護保険と医療保険をつかって、自費負担がかなり安い状態で、満足して最期を迎える方法がわかってきたとおっしゃっているそうです。
とても興味深いです。
準備の様子
中央公民館の方にも、たくさんご協力をいただきました。
今回、300人規模のイベントを、中央公民館を会場に実施しました。
何が大変だったかというと「駐車場」の手配です。公民館では、一般の利用も有り、使える駐車場が30台分くらいしかありません。残りの270台分をどうするのか?
この日は、大津駅伝や深川小学校での桟敷集会などイベントが重なっています。その中で、お貸しいただける広めの駐車場の確保、会場までのシャトルバスの手配、駐車場を知らせる手配、誘導スタッフ配置・看板設置(看板を13枚借りて自分たちで上に案内をはりビニールをはる。自分たちで土嚢を26袋用意)など、たくさんのtodoがありました。
もちろんそれ以外にも、公民館に依頼してのチケットの販売や、ライブ配信に向けた準備等、たくさんの注意事項を確認して進めました。
これまでこういった一般の方を対象としたイベントをやったことがなく、大変貴重な経験となりました。
ご協力いただいた多くの皆さま、本当にありがとうございました。
当日は、軽食のケータリングを、地元仙崎のSNOWDRIPさんのコーヒーとサンドイッチをお願いしました。
コーヒーポットをとりに来て下さいました。細やかなお心遣い、ありがとうございます^^
準備を進めているさなか、先生から「こけて腰うったので病院へ行きたい」との連絡があり、急遽、限られた情報をもとに、「こういうときはこうしよう」「こうなったらこうだね」と即断で意思疎通しました。
「車椅子ある?」、「車椅子なら、こっちのテーブルがよいね」、「白い布ある?足下をかくそう」、「入場の仕方は?」などなど。手際よく進んで行きます。
さいごに
これを書いているスタッフは、講演会後、上野さんと話す機会がありましたので、そこでの会話を紹介します。
車椅子ながら、講演もサイン会も予定どおり実施いただき、会場の皆さんも楽しそうに反応されており、とても実りのあるよい時間となりました。と感謝を伝えつつ、実は、一報を受けてから、歩けるしお話ができる場合、歩けないけどお話ができる場合、お話も難しい場合の3パターンで対応策をねって、どの形でも進められるように準備していましたと打ち明けました。
「わたしは話すつもりで病院へいったのよ」とおっしゃりつつ「ありがとう。働いてくださった皆さんによろしく伝えて下さいね」と
今回、関わる皆さんの冷静な判断と連携の元、アクシデントがありながらも無事開催できたのだと感じます。
かげにひなたに、本当にたくさんの方にご協力いただきました。誠にありがとうございました。