R6大学生インターン 4日間を体験いただき、感想を伺い考える『働きたくなる地域』とは?
こんにちは!長門市しごとセンターです。
長門市では、4日間の『パッケージ型就業体験※』の募集をしており、今年度も大学生が来てくれました。
※1つの会社で複数日というのではなく、複数の企業や市役所の方々の話を聞いて、長門市で働くことを意識してもらう機会となっています。
集大成の最終日には、長門市役所の設置する『長門市しごとセンター』に来てもらい、どんな施設なのか、長門市(の担当者の方)が何を期待しているのか、運用を担うNPO法人つなぐはどのような思いを持っていて、何をしているのかなどを知ってもらいます。
そして、当法人らしく体験を「言語化」し「発信する」ことに挑戦していただきます。
午前 長門市産業政策課 担当者からのお話
テーマ
◎産業政策課の仕事とは?
◎長門市しごとセンターを設置した背景・期待すること
◎ご自身の就職・転職
最初の就職、転職し長門市役所で働くようになって思うこと
◎最近の大学生の就職に対するリアルな声 etc.
担当者の方は、
「このあと記事にするって聞いたので、見直せる資料があったらいいのかなと思って」との。そして
「定期的にデータを見直すと、自身の勉強にもなるので」「堅苦しくなく、逆に、ぼくも今の大学生事情が聞けると嬉しいです」とどこまでも爽やかです。
こういう若い方が長門市役所で働いているのだと思うと、心から嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
午後 インターン当事者としてインタビューを受ける&記事作成
午後には、当法人で作成予定の、小学生の保護者向けに発行予定の簡易パンフレットの記事作成に向けて話を聞きました。
インタビュー項目
◎インスタプロジェクト※に参加しようと思った背景と参加してみてどうでしたでしょうか?
◎地元で働く先輩や友達はいますか?
◎山口大学で何を学んでいますか/どのように過ごしていますか?
◎小中高にやっておくとよいこと
◎将来の夢(職業ではなく状態)
◎長門市のオススメスポットは?
↓↓※インスタプロジェクトについて↓↓
インタビュアーは、大学生の彼が高校生だった頃にプロジェクトの手伝いなどでも関わっていた、かなたでざいんの田中輝さんです。「あのときは・・・」みたいなリラックスした昔話も織り交ぜながら、今とこれからの展望をときに真摯に質問しました。
大学生 安岡さんの感想
私は山口県の大学に通う大学3年生です。地元が長門市で、中高生の時はしごとセンターを利用した経験があります。今回インターンシップで長門市産業政策課の方から産業政策課の取り組みやしごとセンターを作った経緯について聞かせていただきました。そのお話や私のしごとセンターで経験に基づいた内容や感想について書いていきたいと思います。
◆長門市の課題と取り組み
長門市最大の課題は人口減少です。
2021年で32580人だった人口が2024年で30470人と約2000人減少しました。人口減少が進むと消費が減少し、企業の業績が悪化します。そして、労働者の給与低下やリストラが起き、更なる消費の低下が起きます。このように負のスパイラルが起きるわけです。このような人口減少に立ち向かうために、移住者支援の強化や子育て支援の強化が長門市では積極的に行われています。
◆産業政策課の役割
産業政策課の役割は長門市の経済を活性化する取り組みを行うことです。
具体的には新規創業者を増やす取組、企業の最大の課題、人材不足に関する取組、事業を継続させる取組、消費の低下を和らげる取組、企業の業績悪化への取組の5つです。
しごとセンターは特に若者の長門離れを少しでも改善しようという思いから生まれました。
長門で働きたいと思い、若者が戻ってきたい町を目指して活動しています。しごとセンターでは主に中高生へ向けたキャリア教育を行っています。長門にはどのような企業があるか紹介や、将来に向けてのスキルアップのための講座を開いています。
私自身しごとセンターでのイベントに参加したことがあり、貴重な体験ができました。長門の企業を紹介することで、長門の企業について知ったり、長門の魅力を再認識したりしました。
◆長門市しごとセンターの誕生背景
産業政策課がしごとセンターを作った経緯としては、長期的な視点で、長門に留まってくれるかもしれない、将来的に長門に戻ってくれるかもしれない、そのような若者をマッチングし、長門が存続できる、人々が豊かになれる、そのような思いから生まれました。
◆次々に進められる「若者に選ばれるまち」に向けた取り組み
また、長門市(つなぐスタッフ追記:担当は、企業誘致まちづくり推進課になります)では長門で働きたい仕事がないという若者の声から(つなぐスタッフ追記:若者の声だけではなく、実際には様々な理由があります)、IT企業を誘致するためのIT拠点施設を令和8年度に整備を予定しています。若者の選択肢を増やすという意味で、この施策は効果的だと思います。
しごとセンターや産業政策課の取り組みは一定程度効果を上げていると思います。
◆大学生の考える「働きたい場所」
私の友人も高校を卒業し、長門の企業に勤めているという方がいます。私はさらに長門に定住してくれる人を増やすには大学生へのアプローチが必要だと考えます。大学生が長門で働き、住み続けたいと思えるような環境を整え、そのような取り組みがなされていることが発信されることで定住へとつながっていくと思います。大学生である私の視点からは、働き方改革による労働状況の改善が重要だと考えます。具体的には働いた分だけきちんと給料を出す、休みも設けてワークライフバランスを充実させる、DXによる労働生産性の向上だと思います。
官民が連携して、市役所は賃上げや労働環境改善を促し、企業がそれを実践し、しごとセンターが発信していくというような取り組みが、長門で働きたいと思えるような人を増やすことにつながると思います。
私自身は長門で良い企業があれば、長門のために働きたいと考えています。消滅可能性自治体と言われる長門市において、持続可能な長門に変えるために何かできないかと考えています。今回のインターンシップで長門の企業が様々な取り組みをしていることがわかりました。これからも長門での就職も視野に入れながら、就職活動を行っていきます。
(山口大学 経済学部 安岡 直輝 /20才)
ほんの90分くらいですが、ここまでの文章を書いてくれており、驚きます。
思えば、中学生の頃から、当法人で行うイベントにもいくつも参加し、意見も述べてくれました。
就職活動のタイミングで、長門市についてもちゃんと調べてみようとして、かつ真剣に話を聞いていただき本当にありがとうございます。
選んでもらえる、たとえどこかで就職したとしてもタイミングが来たら「帰ってきてもらえる」よう、いただいた内容も取り入れ活動していくので、引き続き何らかつながっていけると嬉しいです。
つなぐスタッフの感想
大学生の書いてくれている「大学生が長門で働きたいと思える環境」とは何だろうと考えています。
これを書いているつなぐスタッフは、就活の頃、超氷河期で書類で落ちる、面接で落ちる、連続して落ちてばかりでかなり苦しみました。諦めかけつつ、最終的に拾ってもらえた会社には、基本前向きで優しくて頑張り屋で「一緒にいて楽しい」と感じられる同期が複数いて、思い出としてすごく楽しかったです。また、人材派遣会社向け求人サイトを扱う部署が立ち上がり営業をさせてもらい、「自身のキャリア」「キャリア形成」について考えるようになりました。
それら経験を経て、若いうちは「切磋琢磨できる同期・年の近いメンバー(素直に話せることで自己理解や他者理解が進んだように思います)」「研修制度(定期的かつ各種の外部講師によるもの)」「評価制度(基準があること)」「上司・先輩と話す機会(昔は飲み会、数年前は1on1でした)」がきちんと制度としてあることで、成長意欲を刺激され謙虚さの重要さを知りコミュ力が助けになると実感できるのではないか、と思います。だから、ある程度組織マネジメントに力をいれている企業で働いてみる、というのは1つのよい選択ではないかと感じています。
でも、それを大学時代に言語化できていませんでしたし、ほかの例えば技術職に進んだり、公務員になった方等はまた違った経験・価値観をしているようにも感じます。
大学生が「ここで働きたい」と思う仕事とは?、保護者の方が「ここもいいんじゃない?」と言うような仕事とは何か?
自立する・家庭をもつことを考えると「安定」というのはキーワードなのは確かですが、都会で就職しても安定が約束されない時代の「安定」とはなんだろう?「収入をえる力を含む、時代に適応し自身でキャリア形成するスキル」とも感じます。
では、それはどう具体化されるのでしょうか?
引き続き考えたいと思います。
なお、担当課の方が資料を一部まとめてくださっていることなどを考えたとしても、大学生が今回の意図を把握し、90分でここまでの文章を書き上げられるのは「能力」だと強く感じました。若い人が、自分が頑張れる仕事や自分の「能力」をいかして、仕事にやりがいや手応えを感じ、自分として「満ちた人生」を歩まれることを心から願います。
パッケージ型インターンシップについて
このインターンは、『山口県インターンシップ推進協議会』による企画です。【リンク:「就業体験について」】
◎令和6年度 長門市でのパッケージ型インターン 募集について
参照:https://www.y-internship.com/apps/c_files/23026.pdf
◎山口大学での、募集の様子 https://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~ss-web/2024/06/01/8120.html
このページを見る限り市区町村単位だと、今年度の募集は萩市と長門市だけのようです。自治体として、手を打とうとしっかり活動されているのを感じています。
さいごに
改めまして、インターンで長門市にお越しいただきありがとうございます。
「複数のインターンに参加したり、いろんな人の話を聞いて、就職活動について考えたい」というのはとてもいいと思いました。自己理解が進み、頑張れると思える場所に出会えることを願っています。
もしよかったら、長門市しごとセンターにもまた遊びに来てもらえると嬉しいです。
長門市に暮らしながら、複数仕事をして「生活費を得る」ことができればと思っています。
そこで、令和6年度に『ながチャレ』として、3つのイベントを実施します。
学ぶのはもちろん、来られた方々とゆるいネットワークでつながれたら幸いです。
◎APPENDIX
せっかくなので、REASASのサマリーをのぞいてみたいと思います。
RESASサマリーサイト 2024.8.17参照(https://summary.resas.go.jp/summary.html):
山口県長門市「02 総論_産業」より
『 付加価値額 』とは
企業は、外部から購入した原材料や外部資源に、社内の経営資源を活用してプラスアルファの価値を加えた上で外部に販売します。この過程で上乗せされたプラスアルファの価値のことを付加価値額と言います。
参照:税務研究会 https://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/column/0003zp20211214/
ちなみに、労働生産性とは、企業が生み出した「付加価値」を何人の従業員で生み出したかで計算されます。
労働生産性とは、従業員一人当たりの付加価値額のことで、人的資源の観点からみた生産性の指標としてよく使われます。
参照:税務研究会 https://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/column/0003zp20211214/
『 特化係数 』 とは
特化係数とは、例えば、ある県の産業別の構成比を全国の平均的な構成比と比較することで、その県がどの産業に特化しているのかを示す指標です。ある県の産業の構成比を全国の平均的な構成比で割れば算出できます。
参照:総務省統計局 https://www.stat.go.jp/naruhodo/10_tokucho/sonota.html
簡単に一言で言えば、「ある地域の産業が、全国と比べて、どれだけ多いか少ないかを示す指標」です。
参照:経済学を知り・学べるサイト「エコノメ」Econome https://e-econome.com/regional-economics/10078094/
山口県長門市_各論⑧雇用より:
※都道府県単位でしかでないようです。
特化係数としては、1次産業が特徴的ですね。
付加価値としては、やはり「製造業」です。そして労働生産性も製造業はダントツです。
資源のない日本で、開国以来増える「人材」を都市部や工場に集め『製造業』に集中して経済大国になったともいえます。しかし、人口減少の今、それをどこまで追い求めるのか。
もちろん、金融や情報産業分野など、ほかにも生産性の高い業種もあります。
長門市としてどんな産業を育成していくのか?
考え始めると、いろんな可能性がありつつ、意見の一致は難しいとも感じます。
個人的には、長門市の出されている資料などを読むに、長門市しごとセンターの設置や、IT拠点ビルの整備に向けた動きなど、「ITベンチャーに来てもらう」「デジタル人材を育成する」「地域に愛着をもってもらう」ことを重視しているのが伺えます。
長門市に愛着をもつデジタル人材が活躍できるような、ITベンチャーに長門市に来てもらうことで、現在の産業と融合し、そこでイノベーションが生まれ、生産性アップと若者が働きたい仕事の創出と未来に向けた「長門らしさ」につながるのではないか?そう考えると、当法人としてもプレイヤーの一つとして動きたいとわくわくします。
個人的に、林業にも興味があり、せっかくなので見てみました。
林業の「請負収入」について、2020年の長門市のデータがないのか、そもそも収入がないのか?気になります