美羽子プロジェクト(仮)~『中村さん』にインタビュー
人口減少時代、これからの時代を生きていく中高生たちは社会課題を学び、このような時代を形作ってきた大人の試行錯誤や思いを知る中で、何を思い、何を選択するのか?
NPO法人つなぐでは、中高生が日々に刺激を受けて「自分はこれにトライしてみたい」という際に、可能な限りでお手伝いさせてもらっています。(例えば、自分として何を取り組みたいのか企画を深めることや、インタビューなどをする際の場所の提供、企画を進める上でのちょっとした相談にのるなど)
美羽子さんの長門式マイプロジェクト
林業に興味を持ち、情報収集しているという美羽子さん。今回、話をする中で「最終的な目標は国産材の流用を上げて、日本の林業をもっと発展させる!」と掲げ具体的な活動を開始しました。
高校生のうちから、いろいろヒントを探ってみようとのこと、さっそくインタビューを組み、記事を書いてくれました。スピード感いい感じです。以下ご覧ください。
自伐型林業担当の地域おこし協力隊 中村敏行さん(50代):
旅行会社にて28年間勤務した後、50歳で東京での生活から一転、2022年4月より長門市の地域おこし協力隊に着任。住まいは長門市仙崎。
はじめに
2024年8月22日!今日は長門地域おこし協力隊で自伐型林業担当として働く中村さんにインタビューをさせていただきました。私のプロジェクトが本格的に始まってから初のインタビュー。少し緊張しましたがたくさんの発見や面白いお話ができたので皆さんに共有させていただきます!
長門市しごとセンターで、約90分ほど質問に答えてもらう形で話を伺いました。
質問その1:なぜ長門で林業をしようと思ったのですか?
回答中村さん:
林業に興味を持ったのは、山が好きだったから。
コロナ禍に少し時間ができていろいろ調べているうちに、日本にはこれだけ森林資源があるのになぜ活用しないのだろうと感じるようになった。大型機械をいれてもなかなか採算がとれないことなどを知って驚いたし、そんな中で自伐型林業という手法を知って、それができる場所を探した。島根・高知などでの募集もあったけど、林業の歴史がすでにあるところよりもこれからしっかり取り組んでいこうとしている地域、自分も新しく開発できる場所がいいと考え、長門市を選びました。
質問その2:長門にしかない林業や木の特徴はありますか?
回答中村さん:
「長門だから」という木の特徴はあまりないように思う。
ただ「林業への取り組み」という面ではあるのではないかな。長門市はまだ林業そのものでの実績が少なく、これからいろいろなことができると思う。全国で12か所しかない林業のモデル※にも選ばれていて、これからたくさんの面白いことにであえるんじゃないかと思っているよ。
参 考
長門市は、その取り組みが評価され、平成29年に「国の林業成長産業化のモデル地域」の1つに採択されたのも追い風に、林業に重点的に取り組んでいます【リンク:リフォレながとのホームページ】【リンク:令和4年度「新しい林業」に向けた林業経営育成対策のうち経営モデル実証事業 森林管理組織「リフォレながと」を核とした長門型林業経営モデル構築事業成果報告書】
質問その3:中村さんのモットーは何ですか?
回答中村さん:
一般的な木材利用の用途だけではなく、「新たな活用方法を探る」ということ。
木の捨てられている部分や、間伐したものの放置されている木などをほかの使い方で使うことができないか、無駄というと言葉がちがうのかもしれないけど、未活用の状態のものを活用してみたいと思っている。
私も燃料に使われている木や紙パルプに使われている木を、もっと有効活用したいと思っているのでとても納得しました。
質問その4:林業において大切なことは何ですか?
回答中村さん:
林業は「素材を生産する」だけでないということ。山の整備がなかったら山が荒れ果ててしまう。林業は一般的に素材を生産してそれをいろいろな人が使うと思われているが、そうではなく山の整備も必要になってくる。山の整備をすることで人の気配を感じて獣害対策にもつながるし、いいことしかないね。
山は、実は捨てられているゴミも多い。そのゴミが大雨など海に流れ込んでしまっているとしたらとても残念。
人と森の関係を見直すことが大切だと思う。
質問その5:林業の世界で驚いたことは何ですか?
回答中村さん:
国つまり農林水産省や林野庁と、市町村があって、団体や事業者など複数の関係者がいる。
林業はスパンが50年から60年で長いからか、立場によって思うところに差ができたり、目標が曖昧になってしまっているように感じた。前職では、国や団体・事業者は同じ方向を見ている感覚が強かったから、驚きだった。
いい面としては、関わっている一人一人が林業に対して思いが熱いこと!
質問その6:木のブランド化は可能と思いますか?
回答中村さん:
難しい、とは思うけどできるっちゃできると思う。
林業に携わるようになっていろんな人の話を聞いたけど、シンラテックさんすごいと思った。活用が難しいとされてきたシイの木を床材として活用していて、すごいと思った。
誰がどんな思いで、何をしたのか。そこに至った経緯がないと難しいかな。何か物語がないとブランド化はしにくい。
眠っているものの発見!とかいいと思います。
質問その7:木の良さ、林業の良さは何ですか?
回答中村さん:
「癒やし」ではないかな。肉体的には大変さもあるのだけど笑。
フィトンチッドって聞いたことある?植物から出ていると言われる癒やしの成分。山にいると、なんとなくそれを感じる。
質問その8:今の木材活用についてどう思いますか?
回答中村さん:
個人的に思うのは、流通がスムーズではないというか。建築材としての話だけど、安定して同質のものを供給することができていないと言われている。ここ最近では、材木としての価格は少しずつ上がってきているけど、丸太そのものというか、木を切っているその人にとっての価格は上がっていない。利益が回ってきていないように感じる。
さらに林業は需要と供給がバランスしていないのを感じる。
本来、市場って需要と共有だから、現場でほしいと思われている木が切られて市場に出るならいいのだけど、切っている本人にはそこまで見えてないままに出ているというのはあるね。マッチングで価格が決まるシステムがあればいいと思う。
あと、長門市は市場も近くにないので輸送にも時間がかかる。つまりコストがかかるのが難しいところと思う。
最後の質問:私は人間と森林、木に距離があると感じますがどう思われますか。
回答中村さん:
私もそう思う。林業の仕事に就くまでは「なぜ林業が必要なのか」「木を切らないといけないの?」と思っていた。森林伐採に悪いイメージを持っている人もたくさんいる。
とくに皆伐はよくないってイメージがある。でも学んで知ったのだけど、人家の近くで皆伐して放置すると災害時に被害を増大させたりする可能性が高まるけど山の奥地で皆伐することは決して欠点だけではない。新しい生態系が始まるとも言われている。放置のほうがよくない。
一般の人は知らないだけなんだと思う。だからそのイメージを取り払ってもらえるよう、気軽に木や山に触れられ、楽しめる機会が必要だと思うし、作っていけるとよいと思う。
インタビューを終えて感じたこと
やはり林業や森は知れば知るほど面白いし、深堀のしがいがあるなと感じました!
私も感じている、もったいない、普段は捨てられたり燃料になったりする木の活用について、中村さんとお話することができ、うれしく思いました。
ですがまだ人と森、木に距離があるので、少し悲しくなったと同時になんとかしなければという気持ちになりました。
さらに木のブランド化について、絶対にやりたい!成し遂げてみたい!という思いが強くなりました。
長門にはたくさんのいい質の木があるので、その木をもっと有効活用し、使ってもらえるようになったらなと思います。
実際に林業とかかわっている人に深い話を聞けて感謝しかないです。そしてたくさんの驚きと面白さを見つけられたのでとてもうれしかったです。
ありがとうございました。
NPO法人つなぐスタッフ
スタッフも一緒にお話を聞かせていただきました。
美羽子さんは、疑問に思うことを「友達に◎◎とはなすと△◇との反応があって、◎◎について中村さんはどう思われますか?」などできるだけ背景も込めて質問していていました。
緊張したとのことですが、コミュニケーションの基本は場数を踏みながら、聞きたいことが聞けたのかどう聞けばよかったのか「振り返り」思ったことを言語化することこそ大切と思います。日々本番であり、練習。
今回、早々にインタビュー記事をまとめ、かつ自身の感想もしっかり書いてくれており、とても頼もしいです。
いろんな人の話を聞いて、気になったことは調べて、自身の引き出しを増やしていってもらえたら嬉しいです。
また、お忙しい中ご対応いただいた中村様、誠にありがとうございます。
「高校生がどういう風に考えているのか興味がある」とのこと逆に質問もされていて。こういったつながりから、新しい何かがはじまることを願います。
中村さんは、木を切る「林業家」というよりも、「捨てられてしまっている木の活用」「森林で癒やされる」体験に関わっていけるとよいとのことを何度か話されていました。
だから、森林の保全維持はもちろん、キャンプなどを行う場所を整備したり、山道を整えるなど修景作業などを行い、森に親しみをもってもらう機会作りができたらと思っている話をしてくださいました。
また、道の駅で今月新発売されている「シイの木コーラ」にも少し関わったとのお話もとても楽しく伺いました。
しいの木コーラ 【リンク:道の駅センザキッチンのインスタグラムの記事】
↑facebookの「長門市地域おこし協力隊」の記事の画像より
また、木材のマッチングとのことで、森未来さんのことを教えていただきました!