美羽子プロジェクト(仮)~『シーパーツ 山口工場』を見学させていただきました。

こんにちは!NPO法人つなぐスタッフです。

つなぐでは、『長門式マイプロジェクト』(通称:マイプロ)という取り組みをしています。

長門式マイプロジェクト

長門市しごとセンターは、「人づくり」の拠点、そして「ひと・まち・しごとの交流拠点」を目指して設立され、NPO法人つなぐが運営を担っています。

地方拠点での「人づくり」といえば、地方にあっても「知る機会」「体験の機会」を多数用意して一人一人の未来の選択肢を広げ、その可能性を信じ、人が主体的に行動することを支援し、振り返りを一緒に行うことで自己理解を深めてもらいつつ支援の在り方を見直す機会とし、お互いの挑戦の精度をあげ、最終的には「まち」全体の活気につなげるお手伝いをすることだと考えています。

よって、長門市の中高生の「◎◎について挑戦したい」という気持ちを、ここ長門市しごとセンターにぶつけてくれたなら、話をしっかり聞かせてもらい、「◎△という形なら手伝えますよ?」と伝え、希望してもらえるなら一緒に取り組んでいます。

大まかな条件は、①内容が当法人の目指す方向に重なっていて、②本人が主体的に取り組み、③様子をできるだけ自分たちで言語化し成長の糧にする(つなぐのHPなどに記録を残す)ことです。

令和5年度になり、美羽子さんが思いを話に来てくれました。何度かの意見交換ののち、以下のような活動をスタートしています!

美羽子プロジェクト(2024~) はじまっています【長門式MYPROJECT】※途中経過

こんにちは! NPO法人つなぐでは、中学生・高校生が「◎◎やってみたい」という場合に、実現に向けてお手伝いしています。 すみません、前置きが長くなりました。 美羽子さ…

つなぐスタッフ

美羽子さんは、国産材の価格の安さに悔しさを感じており、「本来価値があるはずなのに、チップになってしまっている地方の木に光を当てたい」「ビジネスとしてやりたい」との話をしてくれています。そして、マッチングサイトを作ることで「価値を感じる人」に情報を届け、その価値に見合っている価格で買ってもらう仕組みを作ることで、国産材の価値を高めたいと考えています。

情報を探す中で、なんと山口県に「自社でマッチングサイトを作成し、これまで”使用済”自動車 とされていたものの価値をあげ、ビジネスを展開している」企業があると知りました。

それが、この記事にある『株式会社シーパーツ』さんです。

出会った記事:世界が注目 中古車から最大利益を引き出す衝撃のシステム | シーパーツ Forbes JAPAN | magazine | Forbes JAPAN編集部

https://forbesjapan.com/articles/detail/61183

これは、フォーブスジャパンの特集である『スモール・ジャイアンツ』の取り組みの中での紹介です。

個人的に、山口県では『ユニクロ』と獺祭を作っている『旭酒造』に注目しています。県内市場が小さいから、都市部や海外を意識したことで、ビジネスが大きくなったとの認識です。

そして、ほかにも山口県に「世界を相手にサービス展開をしている」会社があるのだと思うとゾクゾクしました。

グローバルでありながら、地域に根差した「小さくても偉大」な存在を発掘する「スモール・ジャイアンツ」プロジェクト。(ホームページのことば)【リンク

シーパーツさんにはメリットのないお話であり恐る恐る見学できないかご相談させてもらったのですが。「いいですよ!」とのことでご快諾いただきました。

びっくりしつつ、当日も本当に丁寧に対応をいただきました。

何度言っても足りないのですが、心より感謝申し上げます。

見学の様子

ウェルカムボードをご用意いただきました!近づくと音声を発してくれます。さすがです。

自己紹介

各々での自己紹介。自分のはまっているものを一言添えて話してくださいました。

◎開発部かつ今回のご縁をつないでくださった鳥辺さん:

「パンをこねて焼くのが好きなんです。ずっとパソコンに向かっていると、妙にもやもやすることがあって。パン生地をこねて、こう打ちつけて、無心に練っていると心が落ち着くんです」

◎開発部の古村さん:

「読書が好きです。最近だと、ユニクロの創業者の柳井さんのことを書いた『ユニクロ』がよかったです。継いだ洋服店を世界企業にしていくプロセスに、山口県の企業としてとても刺激を受けます」「もう1冊、『ゼロからトースターを作ってみた結果』って知ってますか?鉄板から作るのではなく、鉱山に行って原料を集めるところからなんです!」との。

◎社長の岡本さん:

「登山ですね。冬山はいかないのですが、山に登った時に見える景色は本当にきれいだし、とても達成感があります」

短い時間でしたが、皆さんの人柄を感じる素敵な内容だったので、少し紹介させていただきます。

会社の紹介

岡本明宏取締役社長から、直接会社の説明をいただきました。

基本情報:

株式会社シーパーツ
所在地(本社):山口県岩国市
従業員数:71名(2020年12月現在)
事業内容:自動車・トラック・重機・建設機械・不動車の安心買取
     リユースパーツ販売・輸出入
     システム開発・販売
     未来創造ロボティクス開発
     システムパートナー
     DXサポーター
     DXコンサルタント
スローガン:「夢と希望をもって未来を創る」

なぜ「海外」にパーツを売るのか?どのように売るのか?シーパーツでは、何を提供しているのか?

主なところで、海外17か所との取引があるとの話はとても興味深いです。

つなぐスタッフ

端的にお話いただいているので、とても合理的で理にかなった内容なのです。ただ、新卒の際に、自社でシステム開発を行う中小企業に入社し営業をしていた経験を持つつなぐスタッフとしては、もっともっと聞きたい思いが溢れます。アイデアを、実際に取引先に使ってもらい利益を出し続けられる「実績」に変えていく過程には、たくさんの試行錯誤があったことを想像しています。

工場の見学

まず最初に、タイヤの脱着を行う「ロボチェンジャー」を見学させていただきました。

ソフトタッチで、優しく丁寧にタイヤとホイールを分離させていく様は、「見事」の一言でした。

ロボット制作会社の方々と連携して開発されたそうですが、プログラミングは古村さんはじめ、シーパーツのメンバーで行ったとのお話にわくわくしました。ある意味職人技です。何を見て、どんな動きをしているのか?それらをどうプログラムに落とし込むのか?

現場の経験をしている人が、プログラミングのことがわかるという「価値」をひしひし感じます。

特許もお持ちで、ほかの工場でも活用されているとの話でした!

大きい機械ながら、車から銅線などを取り出しているとのこと。よくみると、確かに繊細な動きをしていて驚きました!

見学後、さらなる詳細なお話

見学させていただいた内容もふまえて、もっと詳細にお話を伺いました。

「DXとは?」「DXリテラシー」などの解説もあって、興味深いです。

美羽子さんの書いてくれた記事

こんにちは!今日は美祢市にある、株式会社シーパーツ(山口工場)にお邪魔させていただきました。シーパーツさんは、簡単に言うと中古車を買い取り、その自動車の部品を販売している会社です。乗ることができなくなった車でも、解体して部品を取り出し国内外に販売しています。

今回なぜ私がシーパーツさんを訪問させていただいたかというと、私が将来的に成し遂げたいと思っているマッチングサイトを作り上げ、大成功されている会社であったからです。この仕組みを木材にも応用できないかと考え、NPO法人つなぐのスタッフの方のご紹介で今回訪ねさせていただきました。たくさんの発見、深い学びができたのでまとめます!

最初に事務所に入った時に、とても驚くものがありました。それは私たちを出迎えてくれたロボットです。そのロボットは車の部品で作られていて、近づくと「シーパーツへようこそ!!」と元気に出迎えてくれました。後で教えていただいたことなのですが、このロボット、すべて従業員さんが作ったとのこと。とても面白いなと感じましたし、自動車の部品でこんなものが作れるのかと驚きました!

事務所に入り、まず岡本社長に会社の説明をしていただきました。一から会社の概要を説明してくださり、驚くことばかりでした。たくさんの国に輸出をしている車やその部品が、「Used in Japan」として海外から人気があるとは思いませんでした。

その中でも私が印象に残ったのは、「GAPRAS」と「TAPRAS」というシステムです。GAPRASはインターネットオークションのシーパーツオリジナルサイトで、TAPRASは工場管理ソフトです。 GAPRASでは、海外の人がわざわざ日本に来て実物を確認しなくても、自動車の質がわかるように、写真を50枚も載せたり動画を撮ったりしているという工夫が印象に残りました。TAPRASでは、タブレット端末を使って車両の情報を登録し、発行されたバーコードを読み取ることで、他の現場からでも車や車の部品がどのような扱いを受けているのかがすぐにわかるそうで、タブレット端末などの機器を用いることで可能性が広がると感じました。

次に工場の案内をしていただきました。面白いなと感じたのが、ロボチェンジャーというタイヤとホイールを完全分離する機械です。ロボットが分離から品質の評価まですべて行っているそうです。この機械は開発部の古村さんが作られたようで、お話を聞きました。

これまでこの分離作業は人が行っていたようですが、とても大変なのと時間がかかるのでロボットを作ってみたそうです。ロボットのほうがかかる費用が上がるのではないかと思いましたが、ロボットが動いている間に人がたくさんのことをできるそうで、作業効率があがると聞いてすごいなあと圧倒されました。

見学していくうちにすべての部品にバーコードがついているのを見つけて、ITで現場の作業の効率化を図っていてビックリでした。

オークションサイトのGAPRASを開発部の鳥辺さんに説明していただいたときに何度もおっしゃっていたのが「信頼」でした。たくさんの写真や動画、五段階の品質基準をもうけ、それをしっかり表記する。品質をしっかり表記しないと信頼を得られないと言われていました。それこそ、シーパーツさんがオークションサイトで成功している理由なのだと思いました。さらに小さいことから始め、それが次第に大きくなっていったともお聞きし、驚きました。

お客さんがほしいと思えるような商品を売ることが必要ともおっしゃっていて、確かになと思いました。これを木材分野でやると私なりに考えた時に、どのような長さで、どのような質で、どの種類が必要とされているのかもっと研究をしなければと感じました。

最後に、私が今日感じたこと、考えたことについてです。

たくさんの驚き、発見ができたと思っています。オークションサイトを作るのは信頼関係が必要であること。お客さんが何を欲しているか、その期待に応えることが大切。普通のオークションとの差別化を図り、そこにしかない特徴を作るということ。とても驚きました。

これを木材でやってみるとすると、今現在はどのようにして木を販売しているのか、買う人は何をみているのかもっと調べる必要があります。さらに木材を販売するならば、質を調べて数値で示すためにももっと研究を続ける必要があります。

でも、もしここでこのウェブサイト作成が成功すると、日本の林業が注目されるきっかけになり、気軽に木について知ることができるのではないかと思いました。ここで長門のシイやタブの木等を紹介して使ってもらうことでブランド化にも近づけるのではないかと思います。シーパーツの方々からも「木材に応用できるのでは?」「がんばれ!」と応援していただいたのですごく励みになりました。

相談役の方から、「木はまだ魅力が見つかっていないだけで見つかれば大成功すると思う。先駆者になってね」とおっしゃっていただいて身が引き締まりました。そしてウェブサイト作成を絶対に成し遂げたいと改めて感じることができました。

今日は本当にありがとうございました。

つなぐスタッフより

改めまして、シーパーツの皆様に、このたびは貴重なお時間を費やしていただき、丁寧にたくさんの説明をいただきました。本当にありがとうございました。

つなぐスタッフ

帰りの車の中で、美羽子さんと「何が一番印象に残ったのか」みたいな話をしていて。

美羽子さん:「オークション形式、というのはすごく面白いなって思ったんです」と話してくれました。

確かに。これまでは出店者が値段を決めて売れるかどうか、というサイトを前提に話をしていたけど、これは目からうろこでした!

実は、開発部の鳥辺さんは、当法人でも取り組んでいる『CoderDojo 」でのつながりがあります。

当法人では、非エンジニアながら「長門市で、子どもたちはじめ興味のある人が、気軽にプログラミングに触れる機会を作りたい」「講師をお呼びする予算はない」と情報を探し、CoderDojoを始めました。

↓↓CoderDojo長門 の経緯はこちらのページにまとめています↓↓

DojoConJapan2022に、初登壇させていただきました/登壇資料を掲載します。

こんにちは、NPO法人つなぐです。 2022年11月27日(日)に、#DojoConJapan が富山市で開催されました。【HP】 そして、CoderDojo長門も登壇させていただきました お声が…

2023年に、柳井市のイベントで鳥辺さんと出会ったときに「山口県で、エンジニアとして働いています」「子どもたちに、気軽に学んでもらえる機会を作りたい」と話されていて、CoderDojoを立ち上げ様々な活動をされる、その行動力に圧倒されています。

今も、定期的に情報交換させてもらっていて、とても心強い存在です。

今回、フォーブスの記事を読んで圧倒されつつ、ご連絡してみようと思えたのも、鳥辺さんの人柄があってのものでした。

そして、鳥辺さんだけではなく、岡本社長と開発部部長である古村様にもお時間をとっていただき、丁寧に対応いただきました。恐縮するとともに心より感謝しています。

「山口県」という地方にあって、どうしたらビジネスを伸ばすことができるのか?

そこに課題をもちつつ、実践されてきたお話はとても興味深かったです。

そのほかにも、「1つのコンテナに数千点の部品が入っている。手作業でやっていたところからの転換」「間違いのない請求書の即座の発行」「ロボットの開発も、最初は『労働環境改善』だったのだけど、今では他社に販売できるものにまでなっている」「人がいてこその会社だから、働き方改革も意識。男性で育休とっているメンバーもいます」「車のこととかわからないまま入社しても仕事ができるようなシステムになっている」との話はもちろん、「これまでは”使用済”自動車とされたものからも価値を得る」「最大価格」「評価軸をつくった」「最高性能の高いものではない、このくらいのスペックというニーズ」「主導権を握る」「信頼されることで次の取引につながる」とのお話にコア技術の強さを感じます。

岡本社長より、もう一言だけいい?「自社に、開発部門をもっていて、現場の意見を聞きながら日々改善できるのってすごいことなんじゃないかと思っている」

これは、まさにその通りと思います。実は、メモした言葉はもっとあります。社会人経験20年を超えたつなぐスタッフにとってはどれも「それ!本当にすごいことだと思いました!!」と反応し質問したくてうずうずしていました。(高校生が、と言いつつ、すみません、わたしからいつくも質問してしまいました。答えていただきありがとうございました。)

工場はとても大きくて。かつ、自動車の中の部品1つ1つは知らないものばかりで、とても興味深いです。

あらためまして、貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

帰り道

長門市に帰る途中にある『大嶺酒造』さんの、工場兼カフェも見学しました。

つなぐスタッフ

帰りの車の中で、美羽子さんと「木材市場」にも行ってみようとの話をしました。

どんな風に価格が決まっていくのか?調べたつもりではあるものの、リアルに見てみたいです。

ただ、市場だと平日だけのようですが、高校生において、あいにく平日のお休みはないようです。(今回は、文化祭の振り替え休日でした)

高校生が、課外活動をするのって、日程調整が難しいですね。

それゆえ、今回、高校生の可能な日に調整いただいたシーパーツ様、本当にありがとうございました。

◆◆「マッチングシステムをつくったら、国産材の価値を高められる/ビジネスになるのではないか」との思いについて、違う分野で実践されいる方々から、とてもとても力をいただくお話を伺うことができました◆◆

 

↓↓これまでの活動↓↓

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